No1. エッ車からけむりが??

 
思えば、兄きが自動車学校の教官になり、それまでちっとも運転に興味もなかった私に、おババの「免許取ったら200万の車買ってやる。」という甘い言葉にのせられて、免許を取ってしまったことが、これからの怖〜い体験のきっかけになろうとは。
こんな体験すると判っていたら、200万の車につられることなく、免許を取らなかったろう。

 まず、私は兄きの罵りにも負けず、意地で免許を取ったのに、ふたを開ければ、200万の車は9万の中古車にばけた。おババいわく、「若葉マークはあちこちぶつけるから、新車はもったいない。」だそ〜だ。

それでも、取りたての免許に自分の車というのは、結構うれしく、いつかは「200万の車」と思いながら、車を乗り回していたある日、はじめの事件は起きた。繁華街のそばに叔母の家があり、そこは車の往来が激しく、叔母の家の駐車スペースも、車の全長ぎりぎりで、しかも少し坂になっている。そんなところに初心者が車を止めるもんだから、まぁ、一回はぶつてもおかしくはない。
しかもフロントを。

 しかし、初心者はフロントをぶつけることに、何の恐怖もなかった。

そして帰り道、なんだか少し、前から白い煙が出ているが、それでもあんまり気にならなかった。
ところがだんだん煙がはげしく、前が見えにくくなってきた。水温計もHをこえてて、やば〜〜いと気づいたので、あわてて兄きのところに電話をすると、「人や車の少ない道を選んで、家まで来い。」という言葉にますます怖くなり、(爆発っていきなりなるのかなぁ〜。何か前触れがあるのかなぁ〜。)なんて考えながら(恐くて思考がまともじゃない)車や人のいない道を、とにかく走った。

もう、すっかり前が見えず、窓を全開にして、なんとか兄きの家に着いたときには、(まだ生きてたぁ〜。)と心底ほっとした。
兄きは、やかんに水を入れて、家の前で待っていた。
 あんなに煙が激しく、爆発寸前状態がたったのが、やかんの水で収まるなんて、なんだかおかしいやら、恐ろしいやら、とにかく脱力状態だった。

 この日にラジエーターの役割を身をもって覚えたのはいうまでもない。

              
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